帝愛 過払い金返せ!【中間管理録トネガワ 第59話】

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中間管理録トネガワの第59話は、
「過払い」の話です。

 

帝愛は、グレーゾーン金利といって
利息制限法(限度額に応じて15%〜20%)の上限金利から出資法の上限金利29.2%の間の金利で融資を行っていました。

 

例えば、帝愛が28%で融資を行っていたとしたら利息制限法では違法ですが、出資法では違法では無いため明確に違法ではないためグレーなゾーンだったのです。

 

漫画では、トネガワがグレーゾーン金利が撤廃されたことを新聞で知り、もろグレーの帝愛はアウト。帝愛のビルの前には債務者達が集団で過払い金返せと押しかけてきます。裏口にも大量の多重債務者がいてなだれこんできます。山崎、トネガワ、兵藤は上へ上へと逃げビルの屋上まで会長を連れ、ヘリが間に合います。ハシゴが降り、兵藤、山崎、トネガワの順に登りますが、トネガワは多重債務者達に捕まえられハシゴから引き釣り降ろされてしまいます。トネガワ「ぐああああ」。まるで多重債務者達がゾンビのようです。結局夢オチだったわけですが、トネガワはグレーゾーン撤廃などあるわけないと安心。当然、現在ではグレーゾーン金利は撤廃され2010年から出資法の上限金利も利息制限法に合わせられているのですが・・・。

 

 

集団で過払い金返せと押しかけることはあるのか?

 

中間管理録トネガワでは、帝愛の本社に多重債務者が「過払い金返せ!」「帝愛つぶれろ!」と大勢押し寄せる描写がありましたが、実際に本社前に集団で押しかけて過払い返せと抗議する話なんて聞いたことがありません。

 

そもそも集団でいれば目立ちますし、借金をしていることを中には知られたくない人もいますから、過払い金を返還してもらうのであれば個人で行う方がほとんどです。店舗に直接来て、過払い金あるから返せ!と個別に対応を行います。

 

実際にあった事としては、1000人以上の消費者金融や信販会社の利用者が集団で過払い金訴訟をしたことはありましたが、集団訴訟といっても中にはグレーゾーンで利用していても利用期間が短く過払いが発生していなかったり、何度も完済しては借りての繰り返しをして取引が分断され個別の取引とみるのか一連の取引とみるのかなど、一人一人争点が異なります。そのため判決が出るまで時間がかかってしまうので、逆に効率が悪いこともあります。

 

トネガワ「違法金利を了承して借りたのはキサマらのほうだろうがっ!」

 

多重債務者達の
「過払い金返せ!」「違法金利!」
という声に対し、トネガワはこんな暴言を吐きます

 

トネガワ「だまれっ!何が違法だっ!それを了承して借りたのはそもそもキサマらのほうだろうがっ!」

 

確かに借りる時は、頭を下げて貸してくださいとお願いしていたのに、完済したら過払い金返せ!貸した側からすれば、理不尽な気もしますが、そもそも29.2%に近い金利で融資するのが当たり前だった時代、その金利で契約するのが当たり前となっていたので、違法であることすら知らない人が多かった可能性もあります。

 

違法だと知ったのは、過払い金のことがテレビなどで広く報道されるようになってからという人が大半ではないかと思います。

 

違法であると分かっていながら了承しいた場合でも過払い金は請求をすることができます。

 

 

貸す側も利息制限法の金利を超えていても出資法の上限29.2%は超えていないから大丈夫ということではなく、利息制限法の金利を超えて融資するには「みなし弁済」という条件を全て満たさなければならなかったのです。

 

みなし弁済とは、利息制限法を超えた利息は本来無効ですが、債務者が任意に利息を支払った場合は一定の条件の下有効になる。
みなし弁済の条件とは、貸主が貸金業者、利息制限法の制限利率を超える利息について借主が「任意」に支払ったこと、貸付や契約、返済の都度に法律にのっとった方式の契約書を渡しているか、などの条件があります。

 

その条件を全て満たした場合にのみ、グレーゾーン金利が有効とされるのですが、

 

毎回銀行振り込みで返済をしている人の中には、その場で振込明細は発行されても領収書が発行されませんから、希望者は後日自宅郵送になります。領収書を希望していない人もいるため都度交付の条件に当てはまらない、また契約書に「期限の利益が喪失をした場合一括請求する」という文言が記載されている場合、上限金利を超えていると理解していても払わなければ一括請求されると誤解してしまうため「任意」とはいえないと裁判ですでに結論付けられています。

 

そのため違法金利と認識してローンを利用していても過払い金を取り戻せる可能性はあるのです。