過払い金の訴訟は、引き延ばし作戦

消費者金融の営業店に所属していると、男性社員は午前中〜お昼過ぎにかけては、店舗にいないことが多いです。

 

その理由は、長期延滞者への支払い督促申し立てや過払い金の訴訟で裁判所に出廷しているからです。
どちらかといえば、過払い金の件で出廷することのほうが多いです。

 

過払い金訴訟ですが、基本的には複数回出廷します。訴訟を起こされると、消費者金融側は大半負けます。負けることは分かっているので、和解を先延ばしするため、出廷回数が増えるのです。

 

なぜかというと、特に経営状態のあまりよくない消費者金融にはありがちなのですが、原告側の主張に対して、はい分かりましたと早期に和解に応じていたら、過払い金返還で倒産しかねないからです。計画的に過払い金を返還するためにも引き延ばし作戦を行うのです。

 

 

 

どんな引き延ばし作戦を使うのかというと、

 

「移送申し立て」
裁判を別の裁判所に変えて欲しい。本社が東京なので東京の裁判所でなどです。そうすると、1ヶ月くらい裁判が先延ばしになります。

 

「反論・主張は次回」
原告の主張に対して、回答を次回にしますと期日を先延ばしします。

 

「証拠書類を次回提出」
当時の契約書や申込書、など証拠になる書類があるので、次回提出します。これで期日を先延ばしします。

 

「証拠書類が準備できませんでした」
次回証拠書類を提出するといったのに、期日当日に持ってこない。言い訳が、他部署またはグループ会社で顧客の書類を管理しており、その書類がまだ届いていないんで、すいません。といって期日を延ばします。

 

訴訟に至らずに、和解できたケースでも実際に過払い金が入金されるのが1年先、先ほど述べた理由で、計画的に過払い金を返還しており、和解が済んだ順に返しているから、だいぶ先になります。ということもあります。

 

移送申し立てを行い、期日を先延ばしにしてしまったことで起こってしまった不都合が従業員への負担です。神奈川の裁判所で行われた過払いの訴訟が、東京の裁判所へ移送申し立てとなった場合、神奈川の店舗で働いている従業員が、わざわざ交通費をかけてまで東京の裁判所へ出廷することはないので、東京都内の店舗に勤務している従業員が裁判所へ出廷します。その結果、1人で複数の案件を抱えてしまうことにより、1日に何件も過払いの訴訟で出廷することもあります。○○号法廷で訴訟が終わったら、次は○○号法廷でと駆け回り、また同じ裁判長で顔を覚えられてしまうこともあります。ある従業員は、書類管理ができておらず、同じ日に抱えている案件の書類が混在してしまったり、裁判所内で書類をブチまけてしまったという話も・・・。終いには、お前のところの会社はそこそこ大きい企業なのに従業員はいないのか!?と怒られたというケースもあります。